【イッガ智三 出品作】
『エビカスの冷製クリームスープパスタ』(エビのカススパ)

エビかイナゴか…、
何はともあれカスで勝負しよう!
この方向性は全く揺るぎなかった。自分の中で。
しかしながらクリームベースの味は濃厚な分、飽き易いのも事実。その点を解消する良きアイデアを求め、俺はコンペ直前の3日間を『パスタ合宿』と決め込み、急遽山形の実家へと飛んだ。
そして迎えた合宿初日、このパスタに合う箸休め的なさっぱりした夏野菜は何かを思案していた俺に対し、兄貴がこう言った。
「草野球大会の人数足りないからちょっと助っ人で来てくれ」
根詰めて考えすぎるのもいけない、まあいい気分転換になるかもしれないな…、
そう考えた俺はこの誘いを快諾。球場へと足を運ぶ。
グラウンドで躍動した俺は、2打数2安打1打点の活躍。第一打席の2ベースは、その右中間への打球の伸び具合にイッガ智三らしさを見せれたし、二打席目も貴重な場面でのセンター前タイムリーでチームに貢献。見事勝利した。
そして2日目。まずこの日の1試合目を勝利した俺たちはそのままの勢いでダブルヘッダー2試合目の準決勝も勝利。
そして迎えた3日目の決勝戦。勢いに乗った俺たちはあれよあれよという間に優勝。
うおぉぉぉぉーっ!やったぜーっ!俺たちがチャンピオンだ!
俺は意気揚々と帰京した。全身筋肉痛という手みやげと共に。
ただ野球をしただけだった。
野球はクリームソースの箸休めにはなってくれない。ベースボールはどうか?…おんなじ!…じゃ、エアーサロンパスは?これは箸も休めてくれるの?…うんっ!筋肉だけっ!!
…これではコンペに勝てない。
どうすりゃいい?
…とりあえずナス添えようよ。あとカボチャ?さやえんどうもいいんじゃない?夏っぽいし。
このカススパには俺のそんな夏の迷い?ひと夏の思い出?球児の夢?って言うか夏休みの宿題最後にバーっとやる感じ?多分そんなものが詰まっている。カスが歯に挟まる不愉快さも、白球を追いかける高校球児のごときプレーで爽やかに水に流していただければ幸い。